ネタ披露

秋田県 ペンネーム・TSUNAMU さんからの投稿作品
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昼の連続ラジオ小説 第3話




ここに、ある1人の男がいる。
彼の名は有元 敗。彼は怒っていた。本当のニュースとは・・・。
新聞、テレビ、ラジオ、インターネット、その役割とは・・・。

夕方、どの局のどのニュースを見ても、大泉首相が映っている。
そして大泉は言う。
キンカンにできることはキンカンに」
大泉よ、キンカンではダメなのだ。まだ国民は、はれているのだ。
誰が見てもNoなものを、はっきりとNoと言ってもいいじゃないか、アナウンサーよ、解説者よ。

大泉は続ける。
「『ユンケル民営化』をしようじゃないか。」
何を言ってるんだ。ユンケルはタモリ王国の宝だ。
そんなことを言ったら、タモリが昼間から悲しそうな顔をするではないか。

有元は、報道に携わって20年。
ロケットが宇宙に飛ぶ、誰かがオリンピックで金メダルをとる、その度に報道マンとしての喜びを感じていた。
しかし、最近のニュースに不満を感じているのも事実だった。
最初こそは時間を割いて、空撮なども取り入れて派手に放送するものの、いつの間にか消えていくニュースたち。
もっと深く、もっと鋭く、もっと時間をかけて扱うべきニュースもあるのではないか。

有元は思った。この東京に居ては何もできない。
そして有元は決意した。生まれ故郷の秋田から、報道というものを変えていこうと。

2006年1月、雪の降る冬のさなか、有元は、新幹線ヒナイヂドリで、秋田の地に降り立った。
幸い有元には、髪の薄い社員ばかりがいる会社「なまはげ」がスポンサーとしてついてくれたので、始めから番組を持つことができた。
初めての収録の日、有元は楽屋で食事をとった。古文四年堂の「今さら出前うどん」だった。
久しぶりに食べた地元の味。この味で、有元は自分の信念を再確認したのだった。

いよいよ収録が始まり、有元は話しはじめた。

「今日からはじまりました、<春田不合格、夏田不合格、秋田合格>。
この番組は、政治、経済、外交などの影に隠れて、見落とされがちなニュースを、男鹿の夕陽のように、赤く大きく伝えていこうという番組です。
今日は、エンターテイメントのニュースをお伝えします。



まずはじめは本のニュースです。
昨今、有名タレントのブログが話題となっていますが、その中でも特に人気の『偽鍋かをりのおおっぴらな話』が単行本になりました。
偽鍋かをりさんは、カメハメハ国立大学を卒業した才女でありまして、一度書き込んだブログに対するフィードバックの数が、平均で600を超え、日本でもトップクラスであるといわれています。
今回の本のおびは、国鉄スワローズ金田正一さんが書いており、それも反響を呼びそうです。

次は映画の話題です。
DVD『世界の中心で、林檎を投げる』が好評レンタル中です。
主題歌である狭井ケンの『人目を避けて』も、今だカラオケランキングで上位に入るなど、勢いは止まりそうにありません。

続いては音楽。
ヒットシングル『余力少女』を含むトコノマスイッチのセカンドアルバムが好評発売中です。
トコノマスイッチというネーミングは、語感のいい名前を探していたところ、トコノマとスイッチという言葉が偶然思い浮かんだことからついたそうで、特に意味はないそうです。
ちなみに最初、ボーカルの小橋君は、キーボードの時田君のことを嫌いだったそうです。

最後はドラマ。『バス女』が絶賛放送中です。
バスに乗っていた女性が、お金が10円足りなくてバスから降りれず困っていた男性にお金を貸したことからはじまるラブストーリー。
その男の人から、後日、お礼にエドウィンジーンズが送られてきたことから、『エドウィン』とその男性を呼ぶように。
内気な女性はエドウィンと仲良くなりたいのですが、どう切り出していいかわからず、自分の文通相手に相談をもちかけるようになります。
バス女とエドウィンの恋の行方はいかに。

テーマソングであるサンボドクターの『政界はそれを刺客と呼ぶんだぜ』も大人気です。
サンバマスターはマツケンだよ。

今日の放送、いかがでしたか。では、また来週。」

その放送をなまはげ社員達は、時に顔を真っ赤にし、時に顔を真っ青にもしながら、見ているのだった。

第3話 完

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はっちのコメント「オチは赤鬼と青鬼?」