ネタ披露

秋田県 ペンネーム・TSUNAMU さんからの投稿作品
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この番組は、「スカイタワー」(ラリー・フレンチー著)の提供でお送りします。

昼の連続ラジオ小説 第9話
「タイガー梅」 第3回(最終回)

前回までのあらすじ
カレーパンマンのカレーがレトルトであることを市民団体に見破られ、訴えられたジャムおじさん
「一流レストランのカレーなんです」と主張するジャムおじさんに、証人として呼ばれたアンパンマンしょくぱんまんも援軍に加わることに。
「最近は甘さひかえめだったんです」とアンパンマンジャムおじさんの心遣いにふれ、しょくぱんまんも「ここのところは6枚切りじゃなく、8枚切りだったんです」とパン工場の経営の苦しさを吐露し、ジャムおじさんは無罪になると誰もが思っていた。
しかし市民団体側は、アンパンマンカレーパンマンしょくぱんまんのマントに「たけや、白石、ヤマザキ、第一」とスポンサー名がはいっている決定的証拠写真を裁判官に提出し、ジャムおじさんがわいろをもらっていたことがあきらかになる。
後がなくなったジャムおじさんは、バタコさんに罪をなすりつけようとし、裁判を傍聴している誰もが、「これから朝はパンよりご飯だな」と思った瞬間だった・・・。




「名門虎川高校は東大ではなく中立TSUNAMU大学を目指す」
2006年2月に提案されたこの議題もさんざんもめたあげく、2006年3月末にはついにGoサインが出た。
2007年4月には第3学年にツナ大進学特別クラスを設置し、2008年2月29日の入試を突破する、そのための準備期間が、2006年4月からの一年間だ。

虎川高校の卒業生で、エスベル清掃賞を受賞した梅田は、ツナ大プロジェクトの責任者となり、かつ虎川高校がどういう学校なのか知るために、2006年4月から家庭科の教師として赴任することになった。

梅田の専門は、掃除イコール家庭科と思われがちだが、実は国語・数学・理科・社会・英語から美術・保健体育まで、全ての教科を教えられる免許をもっていた。
なぜそんな免許を修得したかというと、「家庭における掃除の七不思議」の第3の謎、「埃は人に話しかける」という謎を解くために、あらゆる知識と格闘したからだ。
ちなみに埃は、田舎なまりの英語を話すらしい。

というわけで、どの教科でも教えられる梅田は、たとえどの教科を教えるとしても、それなりの策はあった。
古典なら掃除に関する古典風漫談、数学なら、ほうき係・ちりとり係のペア曲線ダンスという具合にだ。

しかし梅田は家庭科を強く希望した。
普通の教科なら通知表の5イコールできる子供、通知表の1イコールできない子供と割りきっていいが、家庭科の場合、そうとも限らないからだ。
梅田の自論は可能性のない通知表5の子供よりも、可能性のある通知表1の子供の方が、将来性があるというわけだ。
まぁ、学校の家庭科ごときで5をとれないようじゃ、ツナ大合格はとうてい無理なのではあるが。

そういうことで、学力はテストと通知表で十分判断できる。ツナ大の適性を家庭科で判断したい、それが梅田の意向なのだ。
それに加えて、2006年4月から、ツナ大進学特別クラスの教員の募集も開始した。
虎川高校には、東大に合格させる先生はいても、ツナ大に合格させる先生はいない。

梅田はツナ大クラスの教員には、次の3つの要素のうち、どれか1つの要素でも持ち合わせている人間を採用したいと考えていた。
1つ目は、ツナ大入試のプロフェッショナルであること。
梅田以上にツナ大入試のことをよくわかっている人間が条件だ。

例えばツナ大は中立なので、試験会場も公平に、入試の1週間前、くじ引きで決められる。
日本のどこになるのかはわからないのだが、、会場に選ばれた町は、1兆円ともいわれる経済効果がうまれるので、陰では招致合戦が繰り広げられているという噂もある。
もちろん中立なので、それは絶対ありえない。

試験会場は、前回2004年が大阪アメリカ村、2000年が長崎ハウステンボスだったので、国際的な圧力がかかっているのではないかという話もある。
しかし、くじ引きの瞬間は、各国首脳が宇宙で星の見物をしているので、それも考えられない話だ。

というわけで、ツナ大入試プロフェッショナル教師の採用試験は、「2008年のツナ大入試はどこで行われるのか考えを述べよ」で決まりだ。
偶然や運などと思われがちなくじ引きに、いかに必然というものを見い出せるか?
梅田をうならすことができたら、おめでとう、あなたはツナ大クラスの先生だ。

ツナ大クラスの教員に求めること、その2は、「広く浅い知識」だ。
「そんなマイナーなこと誰も知らないよ」と一般人はよく言うが、入試でもし自分の知らないことが問われても、「そんなこと知らない」では済まされないのだ。

具体的な基準を言うと、テレビ番組・トリビアの泉で10回以上採用されたことがある、というのなら採用だ。
「なんか笑っていいとものテレフォンショッキングのゲストが10人先まで読める」というのも強力だろう。

タモリの話ばかりが出てしまったが、肝心なのは、広い知識をあれこれ並べるんじゃなくて、「この人広いんだろうな」と思わせることだ。
採用試験の問題は、「あなたが理想とする冷蔵庫の中身は?」で決まりだ。

ツナ大クラスの教員の条件、その3は、さっきとは逆、つまり「狭く深い知識」だ。
基準としては梅田の「家庭における掃除の七不思議」くらいのインパクトが欲しい。
「なんか1万メートルくらい掘ったんだけど、たどりついたら100メートル先だった」くらいの深さだ。

採用試験の問題は、「今の日本の問題点を説明せよ?」というので決まりだ。

なにか3つ目だけ急に試験が難しくなったと思う人もいるだろう。それには訳がある。
入試プロフェッショナルの先生と広く浅い先生は、いうならば悪い人でもなれるのだ。
ただ、狭く深い先生には、正義感を持って欲しい。
それを含めての「日本の問題点」なのだ。

先生の人選をあれこれと述べてしまったが、主役の生徒の選考も2006年10月には着々と進んでいた。
ツナ大クラス候補エントリーNO1、2年B組・得呂印田君。
噂ではコイツはエロ本を相当コレクションしているらしい。
実はツナ大の図書館もエロ本でいっぱいなのだ。想像しろ、得呂印田。

エントリーNO2、2年D組・艶谷さん。
名前で気持ちはメロメロなので、あとは実際のそのセクシーな胸で試験官にせまるんだ。
中立TSUNAMU大学、呼ばれたら私達は大きな声で返事するからな。待ってろよ。

虎川高校の生徒が、中立TSUNAMU大学に合格できたかどうか、皆さんがツナ大のキャンパスに行って確かめてください。

第9話 完