エンディング

すでに、時刻は20時を過ぎている。
温泉の後は、家に帰って飯を食っただけで、除雪時間はたったの10分だった。
Q.プロの除雪師なのに、除雪は結局10分だけでしたが
「除雪は、いかに毎日続けるかが大切なんだ。
 おらも除雪師になる前は、東京でサラリーマンをしていたけど、あの頃は毎日成果と報告が求められた。思うような成果が認められない場合は、会社を追い出された後も家でやったさ。いかに毎日成果を出すか、そればっかり考えて、追い込まれ、周りが見えなくなって、病院さも行ったさ。ま、来月からまたその暮らしに戻るどもな。
 んだども、除雪師の仕事は違う。雪がある限り、一生その仕事をやらねばなね。しかも降る量だって、毎日違う。軽トラ埋まった年だば、あまりにも降って、家から出られねがった。豪雪地帯って、行った事あるが?メートル単位で積もる所って、冬だばほとんどの時間が除雪なんだ。一生同じ事を続けるためには、毎日成果を出そうと頑張っても、身が持だね。必要な作業だけやって、無駄な作業はしない。力を抜く時は抜く。それが大事なんだ。
 ただ、会社でやっているわけでないから、時間を自己管理できねばなね。後回しにして一日が過ぎてしまったら、アマチュアレベルだ。プロになるためには、ストイックさを持たねばなね。」
22時。消灯し、はっちの部屋は闇に包まれたが、布団にはスマートフォンの明かりがあった。天気予報を入念にチェックする。
「明日はそんたに寒くならないな。でも濡れ雪になるから、重いんだよな。」
真剣に天気予報を読む姿。除雪のプロは、そこにいた。
プロ除雪師はっち。彼は明日の朝3時にまた、(寒さで)目覚めるという。
end